<序章>
さらさらと、おとがする
すきとおる銀の砂が地に堕ちる、おと
世界の終焉のとき、
空が裂け、地が沈み、風が淀み、海が涸れる…
――――――崩壊
すべての生命の終わり
『時』が……意味を、なくす
「これが……おまえの欲しかったものなのかッ……!」
どこかで男が叫んだ
瓦礫のなか、ただ無力に慟哭するしかなかった
地に近き遺跡の地下
二人は抱きしめあい、別れを誓う
永遠に交わらぬ路を否定し、流れる泪(なみだ)を
手向けの花として
そして、天に近き塔の上
青年と少女が崩れゆく世界を眺めていた
「まだ……」
ふと、青年が呟く
少女が青年へと手をのばした
一つ頷き、手をとる
――――――――――――――――そして、世界は崩壊する
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